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感想・備忘録・夏休みの自由研究

7月の履修作品

2023/07の履修作品メモ。

 

ゲーム『超探偵事件簿 レインコード』

www.spike-chunsoft.co.jp

基本的なシステムはダンガンロンパに似ている。
良くないところは、いちいちロードが長すぎるところと、ミニゲームが面白くないところ。
ストーリーは結構良かった。詳しくは下記に譲るけど、「本物と偽物」の話。「クルミ・ウェンディー」という女の子が可愛くて(というか、声が好き)良かった。死にそう~~と思ってたけど、結果的には死ななかった……ということになる。

探偵超能力「変装」でユーマが女装してくれてとても助かった
ネタバレ 0章。死んだ超探偵たちともっと絡みたかったな~。
5章。舞台であるカナイ区の住民は、ヤコウ所長もクルミちゃんも、それまでの被害者や犯人も、物語開始の時点ですでに全員ホムンクルス(ある種のスワンプマン)と入れ替わっている。本人たちは自覚なし。このホムンクルスは不老不死だが、日光を浴びれば理性を失い、人肉を食わねば肉体を維持できない。それゆえ、カナイ区は日光を隠すための分厚い雲から雨が降りしきり、人肉入りの肉まんが流行している。また、ホムンクルスたちには「血がピンク色」という特徴がある。ダンガンロンパの頃から血液はピンク色で表現されていたので、メタ的にロンパプレイヤーを騙す仕掛けになっている。まんまと騙された~。0章に出てくる普通の人間の死体は焼死体しかなくて、血なんか出てこなかったのもその布石だったんだろうな。
記憶喪失でアイデンティティを失っていた主人公がカナイ区で得た「居場所」もまた偽りだったということになる。そもそも「ユーマ・ココヘッド」も別の人間のもので、借り物だった。
黒幕は彼らが偽物でも彼らを幸福にしたい。偽物でも幸福であってもいい、仮初の平和でも享受させてあげたい。謎を暴けばその幸福は破られる。それでも、ユーマは謎を解く。
それでも、ボクは本気で思ってる! みんなを幸せにしたいって! そう願う気持ちは、本物だ! だから…ボクは謎を解く! 謎に包まれたままの幸せなんて…本物の幸せじゃないから!

 

ゲーム?『超探偵のなり方 ヤコウ=フーリオの場合』

レインコードをプレイ前に読んだ。プレイ後にも読んだ。ゲームというか、ショートショートに近い。レインコードのある決定的な出来事よりも以前の、ヤコウ所長の過去の体験が綴られている。プレイ前の感想としては、「超探偵じゃなくてもすごい探偵がいて、ヤコウ所長も本編では、普段飄々としてるけど裏で根回ししてるすごい人みたいな人として出てくるんだろうな~」くらいだった。その感想は的外れでもなかったけど、プレイ後に読んだらちょっと感じ方が変わった。

ネタバレ 結局本編のヤコウ所長は裏でいろいろやってはいたけど、本物のヤコウ所長ではなかった。でも、たぶんそこが大事なんだろう。肉体は滅びても、その意志……魂は偽物のヤコウ所長にも受け継がれて、仮初の幸福を本当の幸福にする助けになった。そしてまた、その魂はユーマに受け継がれていったんだなあ、と。プレイ後に読んだらかなりしんみりした。

 

ゲーム『ピクミン4』

www.nintendo.co.jp

やってて超楽しかった。ダンドリを突き詰めるゲームとしては完成されていると思う。新しい原生生物も従来の原生生物もたくさん登場して嬉しい、お宝要素が復活して嬉しい。グラフィックもより綺麗になった。生物の挙動を観察しているだけで楽しい。
家やバーベキューの設備など、ロケーションも明らかに人間が暮らしている場所なのに人間の姿が全くなくて非常に良かった。ピクミンと人間は同じ世界に暮らしているけどお互いに認識できない感じで、人間側からすると、ピクミンたちが持ち去ったお宝は「知らない間に移動してたりなくなってたりするもの」なのかな~と感じて、よりエモくなった。昔よく使ってたものがいくら探してもないことってあるよね。

明らかに人が暮らしているが、人の姿がない

 

アニメ『Fate/strange Fake -Whispers of Dawn』

fate-strange-fake.com

原作1巻の内容。ギルとエルの戦いが神話のように美しくてとても良かった。

 

漫画『無能なナナ』11巻

相変わらずどんでん返しが上手い。自分がいると大事な人の負担になってしまうって考えて姿をくらますのって、自分がいることがその人にとって何よりの生き甲斐になっていることを埒外にしていていつもなんだかな~~って思う。でもそうする人っていうのは後者より前者を重く見てしまったっていうことでもあるんだよね……。悲しみ。

 

映画『パーフェクトブルー

今敏作品。何が現実で何が夢なのかが非常に曖昧になる。
最後になるまで何一つ分からなかったけど、最後のあの明るいEDを見て、「ああ、これはハッピーエンドなんだな」と思った。主人公の「アイドルとしての自分」と「女優としての自分」の葛藤が、最後には解消されて、女優として生きていくことで終着を迎える。この作品を難解にしているのは、分裂して葛藤しているのが主人公だけでないところ。いわゆる胡蝶の夢的なものをモチーフにすると、たいてい個人だけが問題になっているように思うけれど、この作品は、現実というものが他者の現実(あるいは夢)との相互作用で成っていることを非常に上手く表現している。見れば見るほど描写が細かい。
この作品は、描写がかなり精神病っぽいんだけど、たぶん大なり小なり誰しもが葛藤を抱えているものであって、それがどのように乗り越えられるのかを表現した作品だと思う。
主人公が「アイドル(偶像)」だったのも良いし、最初に登場するのが「戦隊モノのヒーローショー(そもそも虚構のヒーローであるし、もっといえばヒーローショーで演じている人はテレビで演じている俳優でもスーツアクターでもない)」から始まるのも本当に一貫している。「うわべ/理想/虚構/仮面」と「中身/現実/事実/素顔」の二重構造が至る所に登場する。