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感想・備忘録・夏休みの自由研究

10月の履修作品

2023/10の履修作品メモ。

 

漫画『ドラゴンクエストモンスターズ+

昔読んだことがあったけれど、また読みたくなって読んだ。
全5巻なのだが、もっと続けてほしかったと思った記憶がある。ナンバリング含む原作シリーズの要素を非常に上手に「『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』のその後の世界」に落とし込んでいる。ドラクエ好きにはたまらない作品。絵柄もドラクエにマッチしていて上手い。

 

小説『The Call of Cthulhu

作・H.P. Lovecraft。原著で読んだ。いわゆる「クトゥルフ神話」の発端となった作品。
Cthulhuと表記される、発音も定かでない邪神に纏わる様々な記録や手記を辿っていく物語。描写がおどろおどろしくて良かった。科学によって専門家・分断されていた知識が統合されることで、恐ろしい現実の在り様が明らかになってしまい、人間は狂気に陥る……というコンセプト。
好きだった一節を載せておく。

Hieroglyphics had covered the walls and pillars, and from some underground point below had come a voice that was not a voice; a chaotic sensation which only fancy could transmute into sound, but which he attempted to render by the almost unpronounceable jumble of letters, “Cthulhu fhtagn”.

 

小説『The Great Automatic Grammatizator』

作・Roald Dahl。原著で読んだ。
人間が設定した諸要素に従って、自動的に小説を生成する機械の話。1954年に書かれたものなので、先見の明があってすごい(小並感)。「英文法は厳密性においてほとんど数学的な規則に支配されている(the English grammar is governed by rules that are almost mathematical in their strictness)」という気付きから機械の設計が考えられているため英語という言語の特性に注目しているのだろうけれど、結局どの言語にも応用可能な発想だろう。機械がちゃんと作動するまでの紆余曲折というか実験のくだりはじゃっかん退屈だったけれど、面白かった。

一般向け学術書『テトラローグ:こっちが正しくて、あんたは間違ってる』

https://www.keisoshobo.co.jp/book/b598295.html

同じ電車に乗り合わせた、考え方がまったく異なる4人の会話が誘う哲学の世界。あなたは誰が正しく、誰が間違っていると思いますか?

著・ティモシー・ウィリアムソン。訳・片岡宏仁。一般向けの哲学書
神秘主義に傾倒する者、科学者、相対主義者、論理学者があーだこーだと議論をする形で様々な矛盾や対立を紹介する本。紹介文の通り、読者がどう思うかを重視しており、議論に明確な決着が付くわけではなく、作中の4人の立場が劇的に変わることもない。
読んでみての感想としては、専門的な内容を一般向けにフォーマットするのはやっぱり難しいんだなぁということ。すごく頑張っていると思うけど(何様?)。相対主義はメタ的には矛盾している(一貫していない)ということを再認識した。
好きだった表現を載せておく。

「大事なのは、論理的な部分だけです。真理だけが知識になります。他方、真理も虚偽も、ともに信念になります」

p.89