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感想・備忘録・夏休みの自由研究

聖書を日英対訳で読んでみる/創世記第21章

イサクの生誕。ハガルとイシマエルの放逐。アブラハムとアビメレクの取り決め。

 

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英訳出典:BibleGateway.com: A searchable online Bible in over 150 versions and 50 languages.(English Standard Version)
和訳出典:口語旧約聖書 - Wikisource

 

第21章

1. The Lord visited Sarah as he had said, and the Lord did to Sarah as he had promised.
 主は、さきに言われたようにサラを顧み、告げられたようにサラに行われた。

  • 先に言われたように:18-10*1

2. And Sarah conceived and bore Abraham a son in his old age at the time of which God had spoken to him.
 サラはみごもり、神がアブラハムに告げられた時になって、年老いたアブラハムに男の子を産んだ。

  • サラはうまずめ(11:30)であったが、神の御業によって子を成す。
  • bear が4文型で用いられている珍しい例(bear Abraham a son:アブラハムに息子を産む)。

3. Abraham called the name of his son who was born to him, whom Sarah bore him, Isaac.
 アブラハムは生れた子、サラが産んだ男の子の名をイサクと名づけた。

  • [Bible Gateway註:Isaac means he laughs
    「イサク」は「彼は笑う」の意。

4. And Abraham circumcised his son Isaac when he was eight days old, as God had commanded him.
 アブラハムは神が命じられたように八日目にその子イサクに割礼を施した。

  • 8日目に割礼を施されるイサク。8日目なのは、7日で一周(period)という世界観ゆえか。

5. Abraham was a hundred years old when his son Isaac was born to him.
 アブラハムはその子イサクが生れた時百歳であった。

  • ぴったり100歳。のちにひとつの大きな周期(世紀;century)となる年数。

6. And Sarah said, “God has made laughter for me; everyone who hears will laugh over me.”
 そしてサラは言った、「神はわたしを笑わせてくださった。聞く者は皆わたしのことで笑うでしょう」。

  • 「神が私に笑いをくださった」=「神がサラにイサクを与えたこと」そして「それによって幸福(笑顔)を与えてくれたこと」のダブルミーニング
  • 新共同訳では「聞く者は皆わたしと笑い(イサク)を共にしてくれるでしょう」。

7. And she said, “Who would have said to Abraham that Sarah would nurse children? Yet I have borne him a son in his old age.”
 また言った、「サラが子に乳を飲ませるだろうと、だれがアブラハムに言い得たであろう。それなのに、わたしは彼が年とってから、子を産んだ」。

  • nurse:授乳する
    nurse は古くは「乳母」を意味していた。
  • 「サラ(私)が子を産むなど誰も言い当てられなかっただろう。しかし、現に産んでいるよ!」の意。

8. And the child grew and was weaned. And Abraham made a great feast on the day that Isaac was weaned.
 さて、おさなごは育って乳離れした。イサクが乳離れした日にアブラハムは盛んなふるまいを設けた。

  • wean:乳離れさせる
  • 盛んなふるまいを設けた=食事を豪勢に大盤振る舞いした。
    feast:ごちそう

9. But Sarah saw the son of Hagar the Egyptian, whom she had borne to Abraham, laughing.
 サラはエジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子が、自分の子イサクと遊ぶのを見て、

  • [Bible Gateway註:Possibly laughing in mockery
    ここでのサラの laughing は恐らく「嘲り(mockery)」だった。
  • エジプトの女ハガルのアブラハムに産んだ子=イシマエル。

10. So she said to Abraham, “Cast out this slave woman with her son, for the son of this slave woman shall not be heir with my son Isaac.”
 アブラハムに言った、「このはしためとその子を追い出してください。このはしための子はわたしの子イサクと共に、世継となるべき者ではありません」。

  • heir:跡取り

11And the thing was very displeasing to Abraham on account of his son.
 この事で、アブラハムはその子のために非常に心配した。

12. But God said to Abraham, “Be not displeased because of the boy and because of your slave woman. Whatever Sarah says to you, do as she tells you, for through Isaac shall your offspring be named.
 神はアブラハムに言われた、「あのわらべのため、またあなたのはしためのために心配することはない。サラがあなたに言うことはすべて聞きいれなさい。イサクに生れる者が、あなたの子孫と唱えられるからです。

13. And I will make a nation of the son of the slave woman also, because he is your offspring.”
 しかし、はしための子もあなたの子ですから、これをも、一つの国民とします」。

  • アブラハムの子孫」と呼ばれるのはイサクの子孫であるというのはそうなのだが、それはそれとしてイシマエルはイシマエルで別個でひとつの国民を為す。と神は定める。

14. So Abraham rose early in the morning and took bread and a skin of water and gave it to Hagar, putting it on her shoulder, along with the child, and sent her away. And she departed and wandered in the wilderness of Beersheba.
 そこでアブラハムは明くる朝はやく起きて、パンと水の皮袋とを取り、ハガルに与えて、肩に負わせ、その子を連れて去らせた。ハガルは去ってベエルシバの荒野にさまよった。

15. When the water in the skin was gone, she put the child under one of the bushes.
 やがて皮袋の水が尽きたので、彼女はその子を木の下におき、

16. Then she went and sat down opposite him a good way off, about the distance of a bowshot, for she said, “Let me not look on the death of the child.” And as she sat opposite him, she lifted up her voice and wept.
 「わたしはこの子の死ぬのを見るに忍びない」と言って、矢の届くほど離れて行き、子供の方に向いてすわった。彼女が子供の方に向いてすわったとき、子供は声をあげて泣いた。

  • a good way off:十分な距離離れて

17. And God heard the voice of the boy, and the angel of God called to Hagar from heaven and said to her, “What troubles you, Hagar? Fear not, for God has heard the voice of the boy where he is.
 神はわらべの声を聞かれ、神の使は天からハガルを呼んで言った、「ハガルよ、どうしたのか。恐れてはいけない。神はあそこにいるわらべの声を聞かれた。

18. Up! Lift up the boy, and hold him fast with your hand, for I will make him into a great nation.”
 立って行き、わらべを取り上げてあなたの手に抱きなさい。わたしは彼を大いなる国民とするであろう」。

19. Then God opened her eyes, and she saw a well of water. And she went and filled the skin with water and gave the boy a drink.
 神がハガルの目を開かれたので、彼女は水の井戸のあるのを見た。彼女は行って皮袋に水を満たし、わらべに飲ませた。

  • なにかと泉や井戸などといった水源と縁のあるハガル(第16章)。
  • 目を開く=物事を理解できるようになる。
    サラとの対立で蒙昧に陥っていたハガルは、この荒野に至って神への信仰を得て、救いを得る。
  • 12節,13節でハガルとイシマエルの放逐を是とした神は、その責任をしっかりと負い、救いを与える。

20. And God was with the boy, and he grew up. He lived in the wilderness and became an expert with the bow.
 神はわらべと共にいまし、わらべは成長した。彼は荒野に住んで弓を射る者となった。

21. He lived in the wilderness of Paran, and his mother took a wife for him from the land of Egypt.
 彼はパランの荒野に住んだ。母は彼のためにエジプトの国から妻を迎えた。

  • これ以後代々続くイシマエルの一族。

 

22. At that time Abimelech and Phicol the commander of his army said to Abraham, “God is with you in all that you do.
 そのころアビメレクとその軍勢の長ピコルはアブラハムに言った、「あなたが何事をなさっても、神はあなたと共におられる。

23. Now therefore swear to me here by God that you will not deal falsely with me or with my descendants or with my posterity, but as I have dealt kindly with you, so you will deal with me and with the land where you have sojourned.”
 それゆえ、今ここでわたしをも、わたしの子をも、孫をも欺かないと、神をさしてわたしに誓ってください。わたしがあなたに親切にしたように、あなたもわたしと、このあなたの寄留の地とに、しなければなりません」。

  • ハガルとイシマエルの話から場面が変わる。
  • 20章でアブラハムがアビメレクを欺いたことを受け、アビメレクはアブラハムにもう欺かないように誓わせる。

24. And Abraham said, “I will swear.”
 アブラハムは言った、「わたしは誓います」。

25. When Abraham reproved Abimelech about a well of water that Abimelech's servants had seized,
 アブラハムはアビメレクの家来たちが、水の井戸を奪い取ったことについてアビメレクを責めた。

  • reprove:叱る
  • 水の井戸? 何のこと? 話が唐突。
    水は命の象徴。

26. Abimelech said, “I do not know who has done this thing; you did not tell me, and I have not heard of it until today.”
 しかしアビメレクは言った、「だれがこの事をしたかわたしは知りません。あなたもわたしに告げたことはなく、わたしもきょうまで聞きませんでした」。

  • 読者も知らない。
    しかしこの言い方だと、アビメレクの部下たちが、アビメレクの与り知らぬところでやらかしたことっぽい。

27. So Abraham took sheep and oxen and gave them to Abimelech, and the two men made a covenant.
 そこでアブラハムは羊と牛とを取ってアビメレクに与え、ふたりは契約を結んだ。

28. Abraham set seven ewe lambs of the flock apart.
 アブラハムが雌の小羊七頭を分けて置いたところ、

  • ewe:雌羊
  • 謎行動。

29. And Abimelech said to Abraham, “What is the meaning of these seven ewe lambs that you have set apart?”
 アビメレクはアブラハムに言った、「あなたがこれらの雌の小羊七頭を分けて置いたのは、なんのためですか」。

  • 謎行動へのツッコミ。

30. He said, “These seven ewe lambs you will take from my hand, that this may be a witness for me that I dug this well.”
 アブラハムは言った、「あなたはわたしの手からこれらの雌の小羊七頭を受け取って、わたしがこの井戸を掘ったことの証拠としてください」。

  • アブラハムが井戸を掘る(罪)→アブラハムがアビメレクに子羊を贈答する(罰)」ということにしてほしい、ということ?

31. Therefore that place was called Beersheba,[d] because there both of them swore an oath.
 これによってその所をベエルシバと名づけた。彼らがふたりそこで誓いをしたからである。

  • Beersheba means well of seven or well of the oath
    「ベエルシバ」は「七頭の井戸」あるいは「誓いの井戸」の意。

32. So they made a covenant at Beersheba. Then Abimelech and Phicol the commander of his army rose up and returned to the land of the Philistines.
 このように彼らはベエルシバで契約を結び、アビメレクとその軍勢の長ピコルは立ってペリシテの地に帰った。

33. Abraham planted a tamarisk tree in Beersheba and called there on the name of the Lord, the Everlasting God.
 アブラハムはベエルシバに一本のぎょりゅうの木を植え、その所で永遠の神、主の名を呼んだ。

  • tamarisk tree:ぎょりゅうの木
    漢字は「檉柳」や「御柳」が充てられるようだ。木偏に「聖」、凄い字だ。

34. And Abraham sojourned many days in the land of the Philistines.
 こうしてアブラハムは長い間ペリシテびとの地にとどまった。

 

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*1:The Lord said, “I will surely return to you about this time next year, and Sarah your wife shall have a son.” And Sarah was listening at the tent door behind him. そのひとりが言った、「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきましょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」。サラはうしろの方の天幕の入口で聞いていた。