「ミュージカル刀剣乱舞『終わりの響、始まりの音』」4/25(水)観劇 感想

 この記事は「ミュージカル刀剣乱舞『終わりの響、始まりの音』」のネタバレを含みます。というかネタバレしかありません。

 

 先に断っておきたいのですが、ミュージカル刀剣乱舞に関しては『幕末天狼傳』しか見たことがありません。しかも『幕末天狼傳』もだいぶうろ覚えです。なので、しっちゃかめっちゃかな解釈をしているかもしれません。今回『終わりの響、始まりの音』を見て抱いた個人的な感想、となっています。記憶が飛んでいて物語の順序や重要なシーンを忘れているかもしれません。思い出し次第追記したいとも思っていますが、そもそも個人的な解釈ですし、殴り書きですし、雑な書き方だったり、不適切な言葉を使ってしまっているかもしれません。

 以上のことを踏まえてなお読んでくださる方、よろしくお願いします。

 

 4/25(水)観劇

 

 先日東京ドームシティホールで「ミュージカル刀剣乱舞『終わりの響、始まりの音』」を見てきました。私は今回誘われる側だったということもあって、事前にネタバレを踏まないようにしていたので、今回登場する6振りの刀剣男士——即ち、和泉守兼定堀川国広、大和守安定、長曾根虎徹陸奥守吉行、巴形薙刀——については流石に知っていたのですが(また新撰組について色々やるのかなあ、なんで沖田組は安定だけなんだろうなあ、なんで巴形薙刀いるんだろうなあ、なんて呑気に考えていた)、史実の(”その時代の”)人間として誰が出てくるかは全く知らなかったわけです。

 でも開演する数時間前になってちょっと気になってしまい、キャストだけ見てしまいました。

 そこには「土方歳三」の他に「榎本武揚」「島田魁」「中島登」の名がありました。

 新撰組について少し勉強した人なら誰でもこの時点で察しが付こうというもの。このメンツが登場するとなればその題材がかの「戊辰戦争」、特に「箱館戦争」であるということは明白なものです。

 私は土方歳三という人物に特別な思い入れを抱いているものですから、これを知ってしまいかなり動揺しました。「箱館戦争」と言えば武士(刀)の時代の終わりを象徴する戦であり……土方歳三が戦死した戦だからです。私はこれまでさまざまな媒体で彼の死が表現されているのを見てきました。何度見ても慣れることはなく、悲しみが薄れることもありません。だから彼の死を再び目の当たりにしなければいけないのか、と動揺したのです。誘っていただいて私が内容を知らず軽い気持ちで引き受けたことについて、私の心中には後悔が生じ始めていました。

 結論から言うと、見て良かったと思いましたし、今回も大泣きしました。(ちなみに『幕末天狼傳』でも大泣きしていました。)

 

 第1部について。まず、断っておきたいのは、解釈違いについてです。私は、「土方歳三」という人物の概念が耐えうる許容範囲内であればどんな解釈でもその違いは些細なものだと思っています。今回解釈がちょっと違うな、と思う部分が無かったわけではありませんが、概ねしっかりと「土方歳三」でした。これは他の登場人物にも言えることです。

 これ以後番号が振ってある部分は、さらりと書いた主観的なあらすじです。先に断った通り、うろ覚えなので、覚えていないところがあったり間違えているところがあるかもしれませんが、大筋はこんな感じだと思います。

 

1. 開演して序盤、いきなり土佐弁の男が登場したかと思えば、斬り殺されてしまいました。あっという間の出来事でびっくりしました。そして巴形薙刀和泉守兼定陸奥守吉行が登場。殺された男が坂本龍馬であると判明しました。元主人が殺された場面を目の当たりにしても全く動じず飄々とした態度を見せる陸奥守、その一見淡白な態度に憤りを感じる和泉守、そこから一歩引いた立ち位置で2振りを見る巴。

 

2. 本丸に帰還した3振りと、残りの3振りとの交流が見られます。確か審神者と巴との会話も。

 

3. 島田魁とともに土方歳三の登場です。私は土方歳三が生きて動いているというだけで、嬉しくて堪らず、ここでもう涙が溢れていました。2人が会話を交わしていると、1人の男——中島登が登場し、近藤勇沖田総司両名の死を告げ、晒し首になっていたところを辛うじて奪取してきたという近藤勇の首を差し出しました。近藤さんの首を抱き、涙を流し慟哭する土方さん。もう私の涙腺はガバガバでした。

 

4. 本丸にて過去へ飛ぶ6振りが選出されます。そして行き先は1868年。つまり、鳥羽伏見の戦いが起こった年なのでした。「戊辰戦争」と呼ばれる一連の戦における、緒戦です。

 

 ここから細かい順序は覚えてないので割愛しますが、そこからなんやかんやありました。

 

5. 土方歳三鳥羽伏見の戦いで殺そうと目論んでいると思われていた時間遡行軍(メインとなる3人)が新撰組入りしており、彼らの目的は「土方歳三鳥羽伏見の戦いで死なせること」ではなく「土方歳三箱館戦争以後まで生き延びさせること」なのだとわかったり。(つまり、刀剣男士たちの任務は「土方歳三が史実通りに死ぬようにすること」なのでした。)

 

6. それに気づいた堀川が新撰組に1人で特攻、敢え無く捕まり、土方さんに問答されるも気に入られ、堀川を助けに投降した他5振り共々宴会を行なったり。

 

7. 宴会の後、様々に語り合う登場人物たち。(兼さんが土方さんに話しかける重要な場面もあります。)

 

8. そして母成峠の戦いを経て、土方歳三榎本武揚と出逢い、ともに蝦夷へ。(榎本武揚のキャラはとても良かったです。榎本の言った「S'il vous plait.(シルブプレ)」を土方さんが「汁粉くれ」と解釈するシーンとか面白かったです。)

 刀剣男士サイドでは、「元の主人が死んだ時、どんな気分だったか」と訊く和泉守、「空虚、心に穴が空いたような……、うまく言えないのだが」と答える長曾根、「忘れた」とからっと笑う陸奥守。忘れているわけがないのですが、ここでこのように振る舞えるのが彼なのですね。

 

9. 箱館戦争の開幕。刀剣男士たちが時間遡行軍と戦います。

 

10. 箱館戦争の中盤あたり……ここから涙が止まりませんでした。

 

11. 具体的には「俺は何人も人を死なせてしまった」と慟哭する榎本を土方さんが叱咤激励する場面です。それまでの場面で、榎本が博識であり、よく勉強をしているということを土方さんは知っていました。「戦は戦だ、意味なんてない」と言い、自分のことを「戦しか能がない」と評してもいました。だからこの場面で土方さんは慟哭しうずくまる榎本に言います。「お前はこれからの時代に必要な人間だ」と。「今度こそ(近藤さんや沖田や他の隊士、そして”自分が殺してきた人間”を救えなかった)俺に助けさせてくれよ」と。「生きろ」と。

 

12. 土方さんは切腹しようとしている島田と中島を寸でのところで止め、また「お前らは生きろ」、「妻帯者がそんなことするんじゃねえ」と言います。自分が独身だからって〜〜〜〜。

 

13. 時間遡行軍と戦う刀剣男士。

 

14. メインとなる3人の時間遡行軍を引き連れて戦場を駆る土方さん。そこに巴が立ち塞がりますが、3人が巴の相手となり、土方さんは先に進みます。

 

15. 巴は物語無き刀です。「銘も逸話も持たぬ、物語なき巴形の集まり」です。今回、巴はしきりに「物語」という語を多用していました。巴を除く他の5振りは新撰組坂本龍馬といった、”力強い”逸話(物語)を持った刀たちです。だからこそ、巴は作中、自分自身のアイデンティティに苦しんでいました。物語無きとは如何なるものか、と。しかしここまでの場面で巴は悟ります。「物語の有無ではない。みなどこかが欠けている。欠けていても、一歩を踏み出すのだ」と。時間遡行軍が今回のように動いた理由も、巴は推測します。「お前たちは土方歳三という強い物語を持つ存在と共に戦い、共に死にたかったのではないか」と。「同じ物語無き存在として、わかるのだ」と。確かに時間遡行軍の刀たちも、”私たちには”無銘で逸話のない刀に見えます。その点で、彼らと巴は同じ存在だったのです。巴は3人を仕留めた後、薙刀の柄を使い、3人の亡骸を一箇所に集めてくれました。薙刀だからこそできた素敵な演出だったと思います。

 

16. そして土方さんに立ちはだかるのは、和泉守兼定なのでした。刀v.s.元主人。土方さんの迫力こもった剣術に圧倒されながらも、和泉守は押し勝ちます。

 

17. それまでの場面——宴会の後や、箱館戦争の最中——で、和泉守は何度も土方さんに問うていました。「元の主人を殺さねばならないとしたら、貴方はどうするのか?」と。土方さんは、「殺すさ」と答えます。「昔の俺だったら」と注釈をつけて。

 

18. 結局和泉守は土方さんの首を断てませんでした。この甘さ、優しさが兼さんらしいです。土方さんは「それも生き方だ」と肯定して和泉守を抱きしめ、戦いで受けた傷だらけの身体を引きずって退場していきます。

 

19. 観客席の通路を通っていく土方さん。私の席は前の方でしたから、土方さんがある程度通路を進めば後ろを振り返らねば見えなかったのですが、しんどくて見ていられず、そのまま舞台の方を見ていました。舞台の方では6振りが集結してきていました。陸奥守が銃を構えたかと思えば、土方さんに発砲。そうして、土方歳三は、戦死したのでした。土方歳三の史実における最も有力とされる死因(流れ弾が当たって死亡)と一致しており、本当にしんどかったです。むっちゃんは元主人の死を受け入れ、乗り越えているからこそ、その悲しみ、”空虚”を人一倍知っており、だからこそその引き金を引けたのではないか、と思っています。

 

20. そして、本丸。「多くを学んだ」と審神者に報告する巴、団子の取り合いで争う陸奥守と和泉守。仲良し、とまではいかないけれど、険悪なムードは取り払われたようで良かったです。

 

21. エンディング。キャストが最後に礼をしていく光景はいつ見ても良いものです。

 

22. 最後、大和守、和泉守、堀川、長曾根が修行道具を身に纏って去っていく演出は良かったです。だから清光いなかったのか〜と納得しました。(そもそも早く清光の極を出せという話ですが……。)

 

 

 巴の「みなどこかが欠けている。欠けていても、一歩を踏み出すのだ」というセリフ、私はこのセリフに土方さんを重ね合わせてしまい、大泣きしていました。土方歳三にとってもう既に、沖田総司近藤勇、その他の隊士たちは「自分自身の一部」であったと考えれます。ですから、そのことを踏まえると巴のセリフは「土方歳三は大事な多くの仲間を失っても(欠かしても)なお、一歩を踏み出し続けている——つまり、走り続けている人間なのだ」ということの暗喩になっていると思います。そして今度は、榎本や島田や中島を生き延びさせようとしているのですね。志を継がせるために。土方歳三の「物語」は、決して死と断絶の物語ではなかったのです。

 終わらない物語はありません。物語とは、いつか終わるものなのです。土方歳三が死ぬ光景を目の当たりにするたび、「死なないで」「生きて」「幸せになって」と必死に祈ってしまうのですが、彼にとってはあの場で志——「誠」を後世に伝えることこそが、”幸せ”なのです。「志半ば」ほど不幸なことは無いと思います。確かに土方さん自身は志半ばで倒れたかもしれません。しかし今回の観劇では榎本や島田や中島、それに刀剣男士たち6振りに、その志は受け継がれたのです。その点で「今回の土方歳三の物語は幸福だった」のです。

 それから、タイトルですが、これはまあ言うまでもないかもしれませんが、むっちゃんが土方さんを撃った銃声、あれこそが「終わりの響、始まりの音」なのですね。「終わり」とは「武士の時代」「刀の時代」そして「土方歳三という男の生涯」の終わりを指していて、「始まり」とは「銃の時代」「土方歳三の志を継いだ者たち」の始まりを指しているのだと思います。陸奥守は劇中しきりに、原作にもあるセリフである「時代は拳銃ぜよ。やっとうなんて、時代遅れじゃ」と言っています。これは彼がその引導を渡す役回りであることの伏線だったのかもしれません。彼は立派にその役を果たしました。

 

 第2部についてはもはや語ることはあまりありませんが、やはりシャブですね。顔と体の良い男たちが歌って踊っているのは最高です。新撰組キャストによる和太鼓の演奏もメチャメチャかっこよかった。また、衣装が毎度のことながらエッチで、堀川の筋肉質なのにしなやかで細い腕、胸元がざっくり開いた衣装も然ることながら、特に巴さんが着ていた右腕だけ肩から露出している衣装が最高にエッチでした。お姫様だっこのくだりはもはや狂気の領域でしたが、最高でした。本当に何が起こっているのかわからなかった、見直したいです……。

 

個別

大和守安定

 かわいい。今回、本筋に直接は関わっていないのですが、その分部隊の緩衝材になっていたと思います。

 

和泉守兼定

 今回はメインでしたね。国広想いなのがかわいい。土方さんのことが大好き。

 

堀川国広

 準メイン。土方さんへの思い入れは兼さんに勝るとも劣らない。声が高い。

 

陸奥守吉行

 メイン級。冒頭で元主人が殺されるという場面を背負わされた。今回のむっちゃんは(今回に限った話でもないのですが)、重たいものを背負ってなおそのことを重たいと思っていないように見せて、明るく振舞っているのがしんどいです。

 

長曾根虎徹

 良い兄貴分という感じ。原作ゲームではむっちゃんと険悪だったが、落とし所を見つけて和解しているようで本当に良かった。

 

巴形薙刀

 2人目のメイン。当初登場キャラをチェックした時はなんで巴さんいるんだろうと思ったものですが、巴さんは今回の物語に必要不可欠な存在でした。巴さんでなければいけませんでした。セリフがカタコト気味過ぎるように感じましたが、全部見終わってからではまあ良い塩梅だったと思います。薙刀遣いなので、殺陣がメチャメチャかっこよかったです。(突く、薙ぐ、斬る、の3つができる薙刀は最強の武器だ、とは何のセリフだったか……)

 

 

 「ミュージカル刀剣乱舞『終わりの響、始まりの音』」、本当に楽しかったです。あまりにも良くて、記憶がとんでいるので、BDを購入しまた見たいです。

 ありがとうございました。